ゴールデンフリース

一万人を乗せた宇宙船で疑惑の事故死。犯人兼語り手は宇宙船そのものを司るコンピューターで最初に犯行そのものが描かれる倒叙形式のSF。同じ作者の作品ではターミナル・エクスペリメントなどでお馴染みの愉快な人格コピーソフトウェアまで登場して、読み進めていてわくわくしないわけがない。27章までは。
さあ最後の詰めだ!のところで、動機があまりにもぶっ飛び過ぎていて、ついでに宇宙からの暗号文が本筋と関係ない上にやたら壮大なエピローグを飾ったりして、ぽかーん。最後の最後で置いてけぼりを喰った気分です。
大絶賛に値する面白い本なのは間違い無いと思います。何か煮えきらないものがありますがっ。
ところで、28ページの「普通より長く」の普通が、算術平均ではなくて中央値なのが、コンピューターの語り手にしてはやけに大雑把だと思いましたっ。勿論ここに限らず、この本の語り手のコンピューターは、全体的にやけに大雑把で人間臭くてそれが魅力なんですがっ。